Medtech Japan 2024
期間 : 4月17~19日
会場:東京ビッグサイト
ブース番号:長野県産業振興機構ブース内 800
従来技術のDOE(Diffractive Optical Element)と同じように光の回折を
利用してガウシアンビームをトップハット(均一な強度分布)に変換しますが、
DOE と異なり、
1. ひとつの素子で広い波長範囲の対応が可能
2. 偽スポットがない
3. 理論効率~100%
の特徴を持ちます。
このような特徴を併せ持つ光学素子はこれまで存在しませんでした。
このトップハットビームシェイパーを使用すれば
- ライン状
- 正方形状
の光ビームに変換できます。またカスタマイズが可能で
- 入射ガウシアンビームとトップハット像のサイズ変更
- 円形や長方形へのビーム変換
- トップハット以外の強度分布
などの実現が可能です。
従来のDOE は階段型の構造によって光を回折します。階段の高さが波長の整数分の 1のときに回折の効率が最大になりますが、中途半端な波長では望ましい回折を起こすことができません。一方、彩世のトップハットビームシェイパーは滑らかな非球面からなっているので、特定の波長に制限されることはありません。
その違いを具体的に計算したのが図-1 です。
図の右側は従来のDOE(階段型 16Step、IFTA による)で、532nm の波長で設計したもの、左は彩世のトップハットビームシェイパー のトップハット変換された強度分布を示しています。設計波長である 532nm(緑色の線)ではどちらもトップハットの強度分布になっていますが、それより短い 405nm、あるいは長い 702nm では従来のDOE では強度分布の形がまったく違ってしまっていますが、トップハットビームシェイパー ではほぼ同じトップハット強度分布を保っています。波長を連続的に変えて強度分布がどう変化するかを比較したムービーがこちらです。
従来のDOE は素子の表面を波長と同程度の大きさの階段型の形状に加工して実現されています。しかし微細な階段形状を実現するのは難しく、どうしても角が丸まったり高さがばらついたりしてしまいます。そのため、設計時点では現れない不要な回折が実際の素子で発生してしまいます。 一方、彩世のトップハットビームシェイパー は前述のように滑らかな非球面でできています。非球面形状は精密な切削あるいは研削加工機で生成され、階段のような誤差の入る余地はありません。したがってトップハットビームシェイパーは偽スポットがまったく発生しないということになります。
偽スポットがないことから、入射したガウシアンビームのエネエルギーはすべてトップハットの部分に収束されることになります。従って回折効率は原理的に 100%となります。従来型のDOE では形状が理想的にできていたとしても、階段の段数によって効率が異なり、8 段で90%前後、16 段でも97%程度で、効率100%を実現することは原理的に不可能です。また段数が増えるほど加工プロセスは複雑になり、誤差の入る余地も増えます。
光線追跡では光の波としての性質が反映されないため、このように無意味な光線のように見えますが、回折を考慮した計算(Fresnel 回折に基づく計算)を行うと図-6 のように焦点位置(d = 0mm としてあります)でトップハットな強度分布になっていることがわかります。
60 °Lineman レンズを光線追跡したのが図-3 です。
図3のように像面で光強度が均一になるように光線の密度を制御しています。この密度変化は波長にはあまり影響を受けないため、Lineman は広い波長範囲で動作可能となっています。
一方、トップハットビームシェイパー はレンズで絞り込んだ焦点面でトップハットな強度分布を作るように設計されます。図4 には同じようにして光線追跡した結果を示しています。図では焦点距離=100mm の絞り込みレンズも一緒に描いてありますが、Lineman レンズと違って光線はほとんどまっすぐ進んでいるようで、トップハットビームシェイパーはなんの作用もしていないかのように見えます。
絞り込みレンズの焦点付近の光線の様子を拡大したのが図-5 です。本来なら焦点を結んで細くなるはずですが、光線はバラけてしまっているように見えます。
光線追跡では光の波としての性質が反映されないため、このように無意味な光線のように見えますが、回折を考慮した計算(Fresnel 回折に基づく計算)を行うと図-6 のように焦点位置(d = 0mm としてあります)でトップハットな強度分布になっていることがわかります。
このように、トップハットビームシェイパーはLineman とは違った動作原理で、従来のDOE と同じように光の波としての性質を利用した設計がされています。一方で従来のDOE とは異なり、Linemanと同じように波長には影響を受けにくい特性を持っています。
光学素子としてのLineman とトップハットビームシェイパーは全く同じ製法で製造されます。
つまり金型を非球面形状に加工し、ガラスあるいはプラスチックを熱変形させることでその表面に形状を転写します。ガラスプレスやプラスチックモールドと呼ばれる技術です。その結果、Lineman とまったく同じ精度と再現性が確保されて、安定性の高いトップハット変換を実現することが可能になりました。